小学校では2020年度から必修化されたプログラミング。親世代には馴染みのない分野ゆえに、詳細が気になっている親御さんも多いのではないでしょうか?
この記事を読めば、次のことがわかります。
・小学校のプログラミング教育は何年生から始まるのか
・プログラミング教育の実態
・家庭でできる事前準備
小学校を皮切りに、2021年には中学校、2022年には高校でプログラミング教育が順次実施されていきます。そして2025年度からは「大学入学共通テスト」でプログラミング分野の出題も始まるとか。
子どもたちはこれからプログラミングの長い付き合いになります。
まずは土台となる小学校のプログラミングについて見てみよう!
プログラミング教育は小学校何年生から始まる?
じつは、厳密に何年生から始まると決められているわけではありません。各自治体の教育委員会や、各学校の方針に委ねられています。
「小学校を中心としたプログラミングポータル」をみると、算数や理科などで本格的にプログラミング授業を行うのは小学校4年生以降のことが多くなりそうです。
しかし、低学年でも、「プログラミング的思考」と呼ばれる論理的に考える力を育てる取り組みは行われています。
例えば、ベネッセコーポレーションの「プロアンズ」というサイトには、小学校1年生の算数での授業案が紹介されています。
【まとめ】プログラミングは何年生からなのか?
・何年生から始まるかは明確には決まっていない
・小学校1年生から何らかの形でプログラミングに触れ合う可能性大!
なぜプログラミングは小学校で必修化されたの?
電化製品やクルマなど身の回りのあらゆるものにコンピュータが利用されている現代。そして、今後ますますコンピュータを駆使したテクノロジーが生活に必要不可欠になると言われています。
さらなる情報社会を生きていく子どもたちのために、小学校からプログラミング教育が開始されることになりました。
情報社会にプログラミング教育が必要なのはどうして?
なぜプログラミング教育が導入されたのか、経緯を紹介するよ!
コンピュータを正しく効果的に使うため
今後ますます便利になる機器やサービスを使いこなすためには、コンピュータを動かしている「メカニズム」を知ることが大切です。
コンピュータ自体は、人間からの指示(=プログラミング)がなければ動きません。
プログラミングを知ることは、コンピュータを動かす「メカニズム」を知るきっかけになります。
「どうやって動いているんだろう?」「自分が考えた通りに動かすには、どういう命令を出せばいいんだろう?」
と、コンピュータのしくみを考えることは、コンピュータを効果的に使う技術につながっていくのです。
子どもの可能性を広げるため
プログラミングによって、将来の選択肢を広げることができます。
今の小学生が社会人になるころには、今ある仕事の多くがなくなるのではないか、と言われています。
その代わりに、今にはないテクノロジーを駆使した仕事が登場することも考えられます。
予測不可能な社会を生きていくためには、柔軟に対応する力が必須。
プログラミングを通して、コンピュータ技術やテクノロジーのしくみを学ぶことは、知識の引き出しを増やすことになります。
さまざまな知識があるほうが、より柔軟に社会の変化に対応でき、活躍の場を広げることになるのです。
【まとめ】なぜプログラミング教育が小学校に導入されたの?
・コンピュータのしくみを知って効果的な使い方を学ぶため
・プログラミング知識を武器に将来を切り開いていくため
小学校のプログラミング授業の内容
小学校で行われているプログラミング授業を、次の4つのポイントに分けて解説します!
プログラミングという教科はない
プログラミング学習は、さまざまな単元で横断的に行われています。
時間割のなかに「プログラミング」が登場するわけではないのです。
具体的には、次のような教科を学ぶ中でプログラミングに触れています。
- 国語
- 算数
- 理科
- 社会
- 音楽
- 図工
- 総合的な学習
ほぼすべての教科でプログラミングが取り入れられているんだね
コンピュータを使わずに「プログラミング的思考」を育てる取り組みをする場合もありますが、基本的にはコンピュータを活用して授業が展開されています。
使用するプログラミング言語・教材は?
授業で使用するプログラミング言語は、「ビジュアル型プログラミング言語」が広く使われています。
ビジュアル型プログラミング言語とは
ブロックを組むようにして、コンピュータに命令を与えられる言語のこと。操作が簡単で、小さい子供でも直観的にプログラミングできるのが特徴。有名なものにScratch(スクラッチ)やViscuit(ビスケット)
があります。
プログラミング教材は多種多様なものが販売されています。そのため、教材を選定する際は、各学校で次の点を考慮して決定されています。
・プログラミング学習の想定目標
・各教科の学習内容
・生徒の発達段階
プログラミング教育はまだまだ始まったばかりで、今後さらに進化する可能性が高いです。
学校で使用するプログラミング言語や教材も日々アップデートされていくでしょう。
誰が教えるの?
基本的には、小学校の先生方が教えてくれます。
プログラミング専門の先生が配備されているわけではないため、各教科の中で先生たちが工夫してプログラミングを教えてくれています。
とはいえ、先生たちだけで教えるのはなかなか大変です。
そのため、企業やボランティアの方と連携することで、プログラミング教育の充実を図っています。
成績評価はされる?
プログラミングのみで成績評価されるわけではありません。
あくまで各教科の習熟到達度を軸に成績が決まります。
ただし、成績には表れませんが、プログラミング学習を頑張っている子や成果を出した場合などは、その「頑張り」を生徒たちに伝えることが望ましいとされています。
頑張ったことを先生に褒められたら嬉しいもんね!
嬉しいと、さらにプログラミングを勉強したくなって好循環になるよ!
【まとめ】プログラミング授業について
・プログラミングはさまざまな教科のなかで行われている
・ビジュアル型プログラミング言語が多く使われている
・教材は学校によってさまざま
・小学校の先生がメインで教えている
・プログラミングのみの成績評価はない
出典:「小学校プログラミング教育の手引き」
小学校のプログラミング教育の目的
小学校のプログラミングは、「プログラミングの技能」を育てることが目的ではありません。ここでは、プログラミング教育の目的を3つ紹介します。
プログラミング的思考を育てる
プログラミング的思考って……?
プログラミング的思考は、文部科学省が発表している「小学校プログラミング教育の手引き」でも、たびたび登場する言葉です。
【「プログラミング的思考」とは】
有識者会議「議論の取りまとめ」において「プログラミング的思考」は、
「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが
必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたら
いいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に
近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」と説明されています。
文部科学省「小学校プログラミング教育の手引き」より
プログラミングでは、コンピュータに「正しく」「具体的」な指示を出し、思い通りに動作させる方法を考えます。うまくいかない時は試行錯誤して考えをめぐらせます。
論理的な思考力を日常生活の中で意識的に育てるのは難しいこと。
ですが、プログラミングであれば、プログラムを組む過程で効率よく論理的に考える力を育てることができるのです。
コンピュータや情報社会について知る
コンピュータが動く仕組みや、日常生活でどのように活用されているかを学ぶことも目的の1つ。コンピュータ技術によって便利になっていることや、コンピュータが苦手なことなども体験ベースで学ぶことが大切です。
中学、高校では、もっと具体的なプログラミング知識や技術を学んでいきます。そのための基盤を小学校では築いていくイメージです。
小学校ではまず「プログラミングと社会の関わり」について気付くことが大切!
各教科の内容理解を深める
単純な暗記ばかりの勉強より、深い理解を得るためにプログラミング教育が活用されています。
例えば、正方形の性質について学ぶ場合
「4辺の長さが同じ」「内角はすべて90度」と暗記するだけでは、生徒は受動的に教科書の内容を覚えるのみです。
しかし、プログラミングで作図する場合はどうでしょう。
「長さ100進む」「右に90度回る」「長さ100進む」……、というやり方や、動作の繰り返しを使う方法もあります。
このように、実際に手を動かしながらさまざまな方法を考えると、単純な暗記よりもぐっと理解度を深めることができるのです。
【まとめ】プログラミング教育の目的
・論理的思考を効率よく育てる
・日常生活の中の「プログラミング」に気付く
・各教科を能動的に学ぶ
できる準備を始めよう!|プログラミング教育必修化に向けて
うちの子、プログラミング授業についていけるのか心配だな……
何事も準備は大切!
ここでは、家庭でもできるプログラミング学習準備を紹介します!
まずは情報収集する
親世代でプログラミングについて知識がある人はごく一部だと思います。
まずは親御さん自身が「プログラミングとは何なのか」「どういう授業をしているのか」について情報を集めてみましょう。
以下のサイトでは、実際に学校で行われた授業例が紹介されています。
プログラミングおもちゃで遊ぶ
プログラミングは実際に手を動かしながら体感したほうが、分かりやすく子どもたちも楽しめます。
しかし、「ScratchやViscuitを自宅でいきなり始めるのはハードルが高い……」
という方は、まずはプログラミングおもちゃを使って、遊びながらプログラミングを体験するのがおすすめです。
パソコンやタブレットと連携して使えるものは、小学生になっても長く楽しめます。
「プログラミング=勉強」となる前に、おもちゃを使って楽しくプログラミング教育を家庭に取り入れてみてはいかがでしょうか?
プログラミング絵本を読んでみる
おもちゃより低予算で始めるなら、絵本でプログラミングについて知る方法もあります。
パソコンやタブレットを使わずとも、プログラミングの基本的な考え方を学ぶことができます。
1冊5分程度の読み聞かせなら、気軽に始められそう!
詳しくは以下の記事で紹介していますので、よかったら参考にしてください!
ワークショップに参加してみる
ワークショップでは、プログラミングで簡単なゲームを作るといった楽しい体験ができます。(参加対象年齢は小学生からが多いようです。)
無料で参加できるものも多いため、自宅近くで開催されていれば、1度足を運んでみてはいかがでしょうか。
下記サイトでいろいろなワークショップが紹介されています。
プログラミング教室に行ってみる
「プログラミング教育についてはプロに任せたい……!」という方は、プログラミング教室に行くという手もあります。
人気の習い事として急浮上しているプログラミング教室。プログラミングの知識や技術はもちろん、モノづくりの楽しさや達成感を味わえるのも魅力の1つ。
未就学児から入室できるところも多いから、まずは見学や体験をしてみるのがおすすめだよ!
まとめ
文部科学省がプログラミング教育を必修にしたということは、プログラミングが子どもの学びに大きなメリットがあるということ。
子どもたちが大人になるころには、今では考えられないようなテクノロジーが登場しているかもしれません。
時代の変化に対応して、学習内容も刻々と変化します。プログラミング教育を子どものうちから始めることで、将来大きな武器になるでしょう。